ポルトガルは優勝できなかったけれど

勝利だけがサッカーの全てではない、とはなかなか言いにくいものです。サッカーとは勝敗というものがはっきりと現れるゲームですし、選手全員も勝利に向かって頑張っているわけですから、勝つことより大事なこともあるんじゃないかなとはとても言いにくい雰囲気であるわけです。けれどもEURO2004を振り返るコラムで宇都宮徹壱さんはこう仰っています。

だが、優勝しようがしまいが、彼らの営みとしてのサッカーは永遠に続くのだし、好不調の波はあっても、自らが理想とするサッカーに殉じるその潔さこそが、これらのチームの一番の魅力だったりもする。たとえタイトルとは無縁であっても、己の理想や美意識を曲げないチームがあってもいいと私は思う。決して勝利やタイトルのみが、サッカーの魅力ではないのだから。
この言葉は非常に素敵な言葉です。私自身も、例え負けても、他の試合より輝いて見える試合というのは絶対にある筈だと思うのです。勝ち負けのためだけにするサッカーというのはとても合理的です。けれども美学のあるチームというのは、他のチームのサポーターからも愛されます。不器用でも誠実な人間が、色んな人から愛されるのに少し似ていると、私は思います。