白い巨塔 最終回

 今まで里見先生の善い人っぷりが善い人過ぎて逆に鼻についてたんですが、今日財前に真摯に向かい合おうとする姿を見て涙がこぼれました。その涙の理由は、今までは医療のため・患者のため・そして財前のためと言って動いていた里美先生の、ただ友人として友人に向けた誠実さや優しさが、私の心に効いたのでしょう。というか私自身が財前とオーバーラップしていた可能性もあります。自分がもう余命いくばくもない病気にかかって、里見の所へ行って、あんな言葉をかけられたとしたら。私は今までの自分に欠けていたこと、そしてそれが患者に対してとても重要なことだったのだということを決定的に思い知るでしょう。そしてそんな里見に対するありがたさから、私は涙を流したのかも。
 後は上川隆也黒木瞳が良かったです。上川が矢田ちゃんに語るシーンは、ぼかしてある分だけ余韻が残るいいシーンだったし、この裁判のために駆け回った二人に対しての労いのようなシーンだったと思います。黒木瞳が財前先生の亡き骸に会えずに淋しそうに帰っていく姿は、正妻ではない人の哀しさを初めてまともに表現できたシーンだと思います。
 及川光博伊藤英明君もお疲れ様です。めざましテレビで「お疲れ様でした!」とハッキリした声で言った及川を見て、私はこのドラマは彼に新しいものを与えたんだと感じました。最終回の中で、財前先生から渡された提出予定書類?を、部屋を出た後くるっと丸めるシーンが良かったです。あの時点でもう弁護士さんは、最終審までいかないだろうことを予測したんだと思いました。唐沢寿明さんはいつも真面目にお仕事をなさるので安心してみてられました。西田局長と伊武さんは本当に素晴らしかった、石坂浩二は嫌いだから、意地でも凄かったなんて言わないよ(笑)。丁寧に作ってることが伝わってくる嬉しいドラマでした。内容があざとかったり古臭くても、役者の力で引っ張られました。